かみさまはいる

11月7日横浜アリーナの、宇多田ヒカルさんのライブツアー「laughter in the dark 」に行って来ました。

なにから話したらいいんでしょうか。私、本当に小さい頃から家族の影響で彼女の音楽を聴いていました。だからなんとなく、空気みたいな、あって当然、みたいな感覚がずっとありました。そんな彼女は、私が小学生のときに、活動休止宣言をします。

私が本当の意味で彼女の曲や、その歌詞の魅力に気がつくのは、多分、彼女が活動休止宣言をしてからのことだったと思います。この人の音楽は、本当に不思議で、綺麗で、寂しいと思いました。

彼女の新しいアルバムが発売された時には、私は高校生でした。戻って来た彼女の音楽が、歌詞が、すっかり洗練されていて、もうこの人は多分迷ったりしないのだろう、と、勝手に思ったことを覚えています。なんでかわからないけれど、向こう側に行ってしまった、とその時すごく感じました。初めからそうだったのかもしれないけど。

 

ライブは、ほとんど諦めていました。先行も抽選も落ちたから。一般でチケット当選の知らせが来た時、私は部屋で1人小躍りしていました。

今回のツアータイトルは、後ろ暗い苦しい感情を踏まえた上で希望を掴もうとする、彼女にぴったりなタイトルだと思います。

 

授業に全部きちんと出て、電車に乗って、横浜アリーナまで。今日がその日だとわかっているはずなのに、なんだか実感が湧かないままでした。会場に入って、席について、とにかく全部目に焼き付けて、耳に、脳に刻み込んで帰ろう、そう思いました。

開場から開演までの長い長い1時間が過ぎて、会場が暗くなりました。

ステージに彼女が現れた時、自分でもなんだかわからない感情が溢れて、涙が出ました。

この間、本当に5秒とかです。歌声が聞こえた瞬間に現実感がガッと押し寄せて、今日死んでもいいと思いました。

焦がれ続けたひとが、そこにいる。それだけで幸せで、どうにかなりそうでした。私の大好きな人が目の前で大好きな歌を歌っている。チケット代の一万円で私はこの先何年かの命を貰ったんだと思います。

向こう側にいる、とは思いませんでした。切り取られる瞬間は全て、私たち一人一人に寄り添うようで、彼女の歌なのに、すべての歌みたいで。彼女が歌っている間は、彼女は音楽そのものになるんだと思いました。死ぬほどカッコよくて、綺麗で、圧倒的で、かみさまはいるって、そう思わせるような歌声でした。

でもMCの時は、全然違います。簡単に言うと、とても初々しいです、歌声にブランクは全然ないのに、MCにはあります。言葉に詰まったり、泣きそうになったり、ふふって笑ったりするのがすごく人間らしくて、この人は間違いなくここにいるんだと思って、それがすごく嬉しかった。

ツイッターとか見てても思いますが、本当に飾らない人で、自分をこう見せようとか、そう言うのが一切感じられない。あんなに凄いものをつくる人なのに。宇多田ヒカルさんには、自分をかっこよく見せようとか、そういうことをしないかっこよさがあります。

 

とりあえずここまでです。彼女は神様ではないし、そう呼ぶつもりもないけど、かみさまはいるし、この人と同じ時代に生まれたことを、私はかみさまに感謝しています。

 

どこでどう泣きそうだったか、詳しくはまた後日改めて書きます。今日は筆に任せて書いた感じです。ここまで読んでくださった人がいるかどうかわかりませんが、どうもありがとうございました。